水泳のレッスンで、まず大切にしたいこと。
それは、クロールの手の動きでも、きれいなバタ足でもありません。
水に慣れているかどうか。
ここが、水泳を楽しめるようになるための土台です。
では、水に慣れるためには、何を何回練習すればいいのでしょうか。
僕の答えは、とてもシンプルです。
水慣れは、練習しなくていい。遊べばいい。
子どもに「顔をつけて」「10回ぶくぶくして」と動作だけを繰り返してもらうより、遊びの目的をつくった方が、子どもは自分から水に関わりやすくなります。
今回は、スイミングコーチにも、親子で水慣れをしたいお父さん・お母さんにも使ってもらえる4つの遊びを紹介します。
水を怖がっている子は、「水に顔をつけること」そのものに意識が向いています。
ところが、物語やクイズの中に入ると、意識の向かう先が変わります。
| 遊びの目的 | 自然に経験できること |
|---|---|
| 動物園まで行く | 水中歩行・水しぶき・姿勢の変化 |
| 入場料を払う | 口や鼻から息を吐く |
| お化粧をする | 顔に少しずつ水をつける |
| クイズに答える | 水中で目を開ける・音を聞く |
大人が身につけてほしい動作と、子どもがやってみたい目的をつなぐ。
これが「遊びながら水慣れをする」ということなんです。
水深50〜70センチほどの浅いプールで、足が安定してつく子におすすめの遊びです。
まず、「みんなで動物園に行こう」と声をかけます。
動物園に着いたら、入場料は「ぶくぶく」です。
口を水に近づけてぶくぶくできれば入場できます。できる子は鼻から、さらに慣れている子は顔をつけて行っても構いません。
入場後は、子どもに「どの動物を見たい?」と聞きます。
ゾウなら腕を長い鼻に見立てて、水面を軽くたたく。カンガルーなら無理のない範囲で小さくジャンプする。キリンなら背を高くして歩く。
大人が全部決めず、子どもから動きのアイデアをもらうことも大切です。自分が考えた遊びになると、参加する気持ちが生まれやすくなります。
これは、家庭でもできる水慣れ遊びです。
水を入れた専用のコップにストローを入れ、ストローから息を吐いて泡を作ります。
「大きな泡を作れるかな」「小さな泡にできるかな」と変化をつけると、息の吐き方にも自然と意識が向きます。
実施するときの注意
普段の飲み物とは分け、練習用の水であることを伝えます。必ず大人がそばで見守り、水を吸い込んだり、むせたりした場合はすぐに中止してください。
顔に水がかかることを嫌がる子におすすめです。
「お水でお化粧してみよう」と声をかけ、ぬれた手で次の順番に触れていきます。
ポイントは、大人が水をかけるのではなく、最初は子ども自身の手で触れてもらうことです。
自分で量やタイミングを決められると、「急にかけられるかもしれない」という不安を減らせます。
すでに短時間潜れる子を対象にした遊びです。
コーチや保護者が水の中で「カレーライス」など、子どもが知っている言葉を一つ言います。
子どもは一緒に潜り、水中の音や口の動きから答えを考えます。
「潜ること」ではなく「何と言ったか当てること」が目的になるため、子どもが自分から水の中を見ようとしやすくなります。
言葉は短いものから始めてください。潜っている長さや回数を競わせず、子どもが苦しくなる前に顔を上げられる進め方にします。
無理に水をかけたり、突然潜らせたりすると、怖さが強くなることがあります。
その日の成功を大人が決めるのではなく、子どもの表情を見ながら終わる場所を決めてください。
水慣れで大切なのは、決められた動作を何回できたかだけではありません。
子どもが安心して、水に触れてみようと思えること。
そのために、コーチや保護者が一緒に遊びの世界へ入ること。
「今日は練習しよう」ではなく、
「今日は動物園に行こう」
そんな声かけから始めてみてください。
遊びに夢中になっているうちに、水の中を歩き、息を吐き、顔に水をつける経験が少しずつ増えていきます。
笑顔で来て、笑顔で帰る。
そんな水泳の時間を、一緒につくっていきましょう。